NISMO 走行性能

アクセルを踏み込む。ステアリングを切り込む。パドルをタップする。
すべての操作にクルマが小気味よくレスポンスしてくれる。その時、走りは意のままとなる。

GT-Rで培った技術に加え、新たにフェアレディZ NISMOの独自開発技術を導入。
エンジン、トランスミッションを緻密に制御し、加速時や旋回時のレスポンスを高めている。

■アクセルレスポンスとシフトスピードを大幅に向上。

フェアレディZ NISMOは、より素早く加速し、より俊敏にコーナリングするために、エンジンとトランスミッションに新たな技術を導入している。エンジンでは、フェアレディZ NISMO独自のターボブースト圧制御に加え、GT-R NISMOで開発された気筒別点火時期制御も導入。パワーとトルクを向上した。また、ドライブモードSPORT+時にバルブタイミングの変更と新たなスロットル制御を導入し、アクセルレスポンスとシフトスピードをいっそう高めている。さらに、エンジンの性能向上に対応して、インタークーラーのラジエーターを強化。トランスミッションもクラッチプレートの枚数を増やすとともに、クラッチストロークを短縮してシフトスピードを高め、優れたレスポンスを実現した。

高速域の走りのポテンシャルを高めるためにはダウンフォースの向上が欠かせない。
フェアレディZ NISMOは、ダウンフォースの増大により優れたハンドリングを実現している。

■強力なダウンフォースを発生する専用開発ボディパーツ。

フェアレディZ NISMOは、さらなるダウンフォースの発生を主眼にボディの空力性能を高めている。GT-Rで培ったノウハウを投入し、新形状のフロントバンパー、アンダーカバー、カナード、サイドシルを開発した。フロントはバンパー下面形状によりリップ前の圧力上昇を最小化。バンパー先端とフロントリップスポイラーで気流を剥離させ、アンダーカバーで受ける負圧を最大化しダウンフォースを発生している。また、カナードはフロントホイールハウス周辺の圧力を下げてダウンフォースを増加。ハイパワー化に対応しラジエーターの冷却性能の向上にも貢献している。それに対してリヤは、ダウンフォース向上と空気抵抗抑制の両立をテーマに開発された。リヤバンパーは、サイドの張り出しと剥離を促進する形状により、車両背面への気流の巻き込みを防ぎ空気抵抗を抑制した。設置位置を見直し大型化したNISMO専用リヤスポイラーは、新たな断面形状によりバックドア上面の圧力を高めダウンフォースを向上。幅方向の拡大により空気抵抗の抑制にも貢献している。これらの新開発パーツにより、ボディ全体で空気抵抗を抑えながらダウンフォースを獲得。車両を強く路面に押しつけることでハンドリングを大きく向上している。さらにブレーキへの冷却風コントロールも実施。フェンダー下面形状によりブレーキ冷却風を制御し、ブレーキエアガイドを介して気流をブレーキローターへ導風して冷却性能を向上。つねに安定したブレーキ性能を確保した。

ダウンフォースを高めるNISMO専用フロントバンパー&カナード

ダウンフォースを増加しながら空気抵抗を抑制したリヤスポイラーと、冷却性能を高めるフェンダープロテクター&エアガイド

最先端のレースシーンで培ったテクノロジーすべてを傾注したフェアレディZ NISMO。
徹底的にチューニングされたメカニズムがここにある。

■大幅にポテンシャルを高めたVR30DDTT［NISMO専用チューニング］エンジン。

3.0L V6 ツインターボ VR30DDTTの優れた基本性能をベースに、そのポテンシャルをフルに引き出すためフェアレディZ NISMOは専用エンジンチューニングを実施している。具体的にはターボのブーストアップとともに電動ウエストゲートバルブの制御を変更。ブースト圧を緻密に制御することでパワーとトルクを向上している。さらに、GT-R NISMOのVR38DETTで開発された気筒別点火時期制御も採用。気筒別に最適な点火時期をコントロールすることでパワーとトルクを高めた。これらのNISMO専用チューニングにより、フェアレディZに対して最高出力を309kW（420PS）/6400rpm、最大トルクを520N・m（53.0kgf・m）/2000-5200rpmと大幅なポテンシャルアップを果たしている。さらに、ドライブモードのSPORT+をセレクトした際にはバルブタイミングを変更。アクセルを踏み込むと即時にトルクが発生するよう制御し、レスポンスを高めている。エンジンのポテンシャルアップに対応して水冷式インタークーラーのサブラジエーターを強化。高剛性エンジンマウントも採用している。

■シフトレスポンスを大きく向上した9M-ATx。

フェアレディZ NISMOの目指すレスポンスを実現するために、9M-ATxにも専用チューニングを行った。クラッチプレートの枚数を増やすことで熱容量に対応。シフトレスポンスを高めるためにクラッチストロークを短縮した。これにより、コーナリング前の素早いシフトダウン、そして、シフトアップ/ダウン時のシフトスピードの向上を実現している。さらに、マニュアルモードでは、エンジン制御との協調によりコーナリング前のシフトダウンスピードを半減。SPORTおよびSPORT+モードではシフトレスポンスの向上により、コーナリング時のパフォーマンスを高めている。さらに、ドライブモードのSPORTとSPORT+セレクト時に、レーシングカー等でアクセルオフやシフトチェンジ時に発生するアフターバーン音を、アクティブ・サウンド・コントロールで再現する。

■NISMO専用シャシーで、日常領域から限界領域まで、一貫して意のままの走りを実現。

エンジンパワー/トルクをアップしながらも、車両の回頭性を高め、ドライバーの狙い通りの走行ラインをトレースできる正確なステアリング操作を実現した。フロントにはNISMO専用の剛性を高めたステアリングラックインシュレータを装備。前後サスペンションにはNISMO専用の高剛性サスペンションブッシュを採用し、ステアリング剛性、サスペンション横剛性を向上させるとともに、径を拡大したNISMO専用ダンパー、ばね定数を最適化したスプリングとスタビライザーを装備した。加えて、リヤサスペンションのダンパーにはリバウンドスプリングも追加している。さらに、NISMO専用タイヤ＆ホイールと専用大径ブレーキ+スポーツパッドを採用。スポーツ走行に対応した高いグリップ能力とブレーキ性能を実現した。
さらに、高速高G走行に対応したNISMO専用の操舵力設定に変更し、加速しながらコーナーを走行する際のリニアなステアリングフィールにより、ステアリング操作と車の動きを一体化させ、意のままの走りを実現した。

■フロントエンドとリヤフロアの補強でボディのねじり剛性を向上。

車体の基本となるボディ構造もNISMO専用の補強を行っている。専用フロントクロスバーを追加し、フロントエンドを補強するとともに、リヤにも専用ラゲッジアンダーブレースと専用リヤアンダーフロアVバーを追加し、リヤフロアを補強。ボディのねじり剛性を高めることで、優れたステアリングレスポンスの実現に貢献している。

■熟練ドライバーのシフトチェンジと、きわめてニュートラルなハンドリングを実現するドライブモード SPORT+。

純粋にスポーツドライビングを楽しむためのドライブモードSPORT+は、専用のバルブタイミングとスロットル制御、及びトランスミッション制御により、シフトダウンのタイミングやコーナリング時のギア保持など、マニュアルモードで走る熟練ドライバーのようなシフトチェンジを実現。ドライバーはハンドル操作に集中することが可能だ。また、新開発のトラクションモードを採用し、前後左右のブレーキを制御。コーナーへの侵入では内側タイヤのトラクションコントロールでアンダーステアを防止。アクセルオンでオーバーステアが出やすいコーナー立ち上がりでは、外側タイヤのトラクションコントロールでオーバーステアを防止する。これにより意のままに車両をコントロールできるハンドリングを実現している。

■優れたサポート性によりドライビングに集中できるNISMO専用チューニングRECARO製スポーツシート。

フェアレディZ NISMOはクルマとドライバーの一体感を重視し、RECAROとの共同開発によるNISMO専用チューニングRECARO製スポーツシートを採用した。運転席へのクロスビーム追加によりバックシェルの剛性を高め、優れたシートバックのサポート性により体幹を安定させることで車両との一体感を向上。さらに、肩甲骨を面で支える構造で横G発生時の保持性も高めている。これにより、ハイスピードコーナリングでも安定した姿勢で運転操作に集中することができる。