みんなは、「AI」の友だちはいますか? 僕は自動車メーカーで長らく機械と付き合ってきたエンジニアで、仲間からはE.L(エル)って呼ばれてる。この仕事を選んだのも小さい頃に観たテレビドラマの影響が大きいんだ。そのドラマでは人とクルマが話をしていて、協力しながら悪と戦う展開に幼いながらも感動したのをよく覚えてる。
あれから数十年が経ち、気づくとあのドラマのような話す機械が本当に実現しそうになっている。最近じゃ自分のクルマがある日突然「よぉE.L、調子はどうだい?」なんて喋り出すんじゃないかと少しソワソワしてしまう。そんな気持ちで街を眺めると、あのクルマはきっと明るくて陽気な性格だろうな、とか、あいつは情熱的で口調が荒いに違いない、とか想像してしまう。
けれど、考えてみれば僕たちはみんな、持ち主を笑顔にしたい、困ったときに頼りになる存在でありたいと、クルマをつくってきた。もしかすると、こうした想いや「魂」ってやつを込めてずっと機械に語りかけてきたのかもしれないね。
そんなある日、僕はSORAと出会ったんだ。どうやら彼女はカーナビの中の人らしいが、実は大切な「あるもの」を探し求めてこの星に来たという。
これはSORAと僕との地球の存亡をかけた冒険物語。人とAIが入り乱れて大量生産と大量消費が加速する時代に、もしテクノロジーがなくなってしまったら一体どうなる? Technology was dead.の後の架空の世界線。蘇る野性の思考。ようこそ、ブリコラージュの世界へ。